やりたいことを今やろう。夢を実現させるすべての人へ贈る本「アルケミスト」角川文庫
60歳の定年まであと5年。同年代の会社仲間が顔を揃えると決まって話題になるのが定年後の身の振り方。
社員が希望すれば会社は65歳まで雇用を継続してくれます。もちろんお給料はガクッと下がりますが。
私の周囲では、みんな雇用継続を希望するらしい。慣れ親しんだ職場で、顔見知りの仲間と、要領を得た業務を続けていく。体が動くうちはできるだけ働きたい。私もそう思います。
その一方で、体も頭も元気なうちに長年の夢を実現したい。時間を気にせず没頭したいことや、一生に一度は行ってみたい場所もある。そんなことも考えます。
ふと、昔読んだ本「アルケミスト」を本棚から探し出して再読。
そして思った。
やりたいことを今やろう。
定年まで待たなければならないなんて、誰が決めたの?(自分ですね)
不思議な本「アルケミスト」をご紹介します!
「アルケミスト」は夢を実現させる少年の物語
「アルケミスト」の主人公は夢を実現させようと旅をする少年、サンチャゴ。彼は、夢を追う過程で何度も試され、命を落とす危険にも向き合います。しかし周囲のあらゆるものから学び、助けられ、困難を乗り越えていく。
小説というよりおとぎばなしのような、神話のような物語。
世界で3000万部売れたベストセラー
「アルケミスト」は、1988年ポルトガル語で初めて出版されました。著者はブラジル人の作家、パウロ・コエーリョ。
当初この本はブラジルの書店で、たった2冊売れるまでに半年もかかったといいます。
出版社は著者との契約を破棄し、本の引き取りを要求。著者は別の出版社を探し、なんとか本は命運を保ちます。そして、一冊ずつゆっくりゆっくり売れていったのでした。
その後25年間で80ヵ国以上の言語に翻訳され3000万部が売れ、多くの文学賞を受賞するベストセラーになりました。
人は、いつでも自分の夢を実行できることに、気がついていない
サンチャゴは世界を旅したくて、父の反対を押し切って羊飼いになり、広大なアンダルシアの平野を旅しています。
彼が羊を売り、エジプトのピラミッドへ宝物を探しに行く旅に出たきっかけは、広場で出会った年老いた王様。王様はサンチャゴに言います。
「人は人生の早い時期に、生まれてきた理由を知るのだよ」
しかし、人はこんなにも早い時期にそれをあきらめてしまう。「結局、人は自分の運命より、他人がどう思うかという方がもっと大切になってしまうのだ」
「あの男(広場の一角のパン屋)も、子供の時は旅をしたがっていた。しかし、まずパン屋の店を買い、お金をためることにした。そして年をとったら、アフリカに行って1ヶ月過ごすつもりだ。人は、自分の夢見ていることをいつでも実行できることに、あの男は気がついていないのだよ」
夢をみることをやめてはいけないよ
「おまえが何かを望むときは、宇宙全体が協力して、それを実現するために助けてくれるのだよ」そう言ってサンチャゴを送り出した王様。
しかし、サンチャゴは羊を売ったお金を盗まれ、言葉も通じない国で無一文になります。市場で働く人を手伝って食べ物をもらい、歩き疲れ辿り着いた丘の上の店で売り物のクリスタルを磨き、店員として雇われ、働きます。
11ヶ月がたち、クリスタルの店は繁盛し、サンチャゴは羊を120頭も買えるほどのお金を蓄え、国に帰ろうとしますが、「夢見ることをやめてはいけないよ」という王様の言葉を思い出し、ふたたびエジプトのピラミッドに眠る宝物を目指して、何千キロという砂漠を旅するキャラバンの一行に加わるのでした。
宝物はどこに?
砂漠では部族間の戦争が始まり、サンチャゴは命の危険と向き合うことになります。
夢を実現する途中で死ぬかもしれない。
「それでも、自分の運命が何か知りもしない何百万人よりかは、ずっと良い死に方なのだよ」
サンチャゴは長い旅の果てに、思いがけない場所で宝物を見つけました。
やりたいことを今やろう
高齢の両親が住む実家に、介護を担う姉が戻って同居することになり、実家の押し入れで自分のものをいろいろ片付けていると、子供の頃書いた作文や通信簿、友達との交換日記なんかがギッシリつまった段ボール箱が出てきました。
子供時代心を躍らせたことや将来への希望や憧れ、友達とのたわいない会話が書かれている何冊ものノート。
定年したら「あれもやりたい」「これもやりたい」と思っていたことが、意外にも子供時代の夢に通じていたことを発見。
夢を実現するのは今しかないかも。
あれこれ先のことばかり考えていても仕方ない。定年してもしなくても、やりたいことは今やろう。今から始めよう。時間とお金をやりくりして、少しづつでも。
そう思ったんですよね。
不思議な本「アルケミスト」。自分の中で長い間眠っていた子供時代を思い出させる本です。おすすめです!