定年後の趣味は、自分だけの楽しみで

水元公園の菖蒲を描く人

先日、友人からこんな話を聞きました。

いわく、以前勤めていた会社の先輩が定年退職を期に家庭菜園を始め、「もし良かったら野菜を送るから食べてよ」と、年に2回収穫した野菜を送ってくれていたんだとか。

当時、友人は夫婦と10代の子供ふたりの4人家族。近所に住む両親もいて、野菜はおいしく食べていた。

しかし、ここ数年で、少しづつ色々な変化が。

先輩の野菜づくりはプロ並みに

「今度ぜひ畑を見にきてください」と毎年、年賀状に書いてくるほど先輩は野菜づくりに打ち込み、近所にいくつか畑を借りて栽培面積を拡張。送ってくれる野菜の量も増え、大きな段ボールいっぱいの玉ねぎ(春)、イモ類(秋)なんかが、ある日どか〜んと送られてくる。

友人はひとり暮らしに

学生だった子供たちは就職して家を離れ、夫は単身赴任。80代になった両親は施設へ入居。彼女は今、ひとり暮らし。

野菜が食べきれない

先輩が送ってくれる野菜はありがたいけれど、ひとり暮らしの彼女には食べきれない。マンション暮らしの近所づきあいは希薄だし、勤め先の友人にあげたくても、持って行くのに手間がかかる上、コロナ以降はタイミング良く会うことも難しい。

最近は、野菜が送られてくるたび「どうしよう、、」という気持ちが先立つように。毎回送っていた、先輩へのお礼の品も、だんだん負担になってきた、と言います。

野菜を辞退することに

悩んだ末、彼女は先輩へ手紙を書き、「野菜を辞退させて下さい」と伝えたそう。それから数ヶ月経つけど、先輩から返信はなく、覚悟はしていたものの「やっぱり、嫌な気持ちになるよね。年賀状は書いてみるけど」と。

定年後の趣味は難しい?

現役時代より時間も余裕もあるから、趣味に打ち込んで大きな成果を上げることもできる。しかし、その成果をどうするか? 

タダであげるから、と言ってもこんな風に少しづつ環境が変化して、周囲に負担がたまっていくこともあるんですよね。

この話を聞いて、なんだか自分の経験がよみがえってしまった。

やっぱり褒められたい

私の趣味は写真。

始めた頃は嬉しくて、家族や友人に写真を見せては「どう?どう?」と講評をせまってました。自分の撮った写真で作ったグッズをプレゼントして、悦に入ってたり。

褒められたい、という気持ちがあったんですよね。

趣味は自分の楽しみだけで

ある時、それが周囲には負担だったんだなあ、、ということに気づいて、まあ、ちょっと恥ずかしかった。

そこから、方向転換。

家族や友人とはこれまで通り、お互い関心のある会話を大切に。趣味のことは、聞かれなければ語らず。自分だけの世界で楽しむように。

世の中は広い

野菜だって写真だって、趣味を同じくする人たちや、それを必要としている人たちもいるんです。SNSやオンラインで、ゆる〜く繋がれるのも現代のいいところ。

出会いも、楽しみも広がった

そんな感じで、家族や友人をアテにせず、ひとりで写真学校へ通ったり、撮った写真をSNSへアップしたり、自分だけで活動し始めたら、思いがけず出会いも、楽しみも広がりました。

褒められなくても、評価されなくても、認められなくても、いいよね。

そこから自由になれるのが、シニア世代の趣味のいいところ。

なんてね。

どうでしょうね。

関連記事:自分が楽しくしていれば、周囲が豊かになる。定年後の過ごし方を考えてみよう

関連記事