自分が楽しくしていれば、周囲が豊かになる。定年後の過ごし方を考えてみよう

「自分が楽しくしていれば、周囲が豊かになるんだよ」

今年で83歳になる父が言ってくれた言葉です。

父は70代後半を過ぎる頃からだんだん膝が悪くなり、若い頃から趣味だったスキーや登山、マラソンなど体を使うスポーツは続けられなくなりました。どの山にいつ登った、今日は何キロ走ったと、若い頃から大学ノートに何十冊も書きとめてきた自慢の記録もストップ。

今は、午前中ラジオで英会話や中国語の講座を聞き、天気が良ければ庭仕事。午後はピアノの練習、夕方近所を一時間ほどウォーキングして、夕食前に英字新聞を読む。毎日ほぼ同じルーティーンを繰り返し、週に一度ピアノ教室に通う以外はほとんど外出もしません。

「外人と話すわけでもなく、海外旅行に行く予定もないのに、なんで英語や中国語を勉強するの?ピアノだって発表会に出るわけでもなく、一年も同じ曲を練習してるじゃない。」

私はといえば、50代になって役職定年を経験し、若い世代にリーダー職を引き渡しました。頑張っても頑張らなくてもお給料は下がり、会社からは早期退職の打診。今まで頑張ってきた結果がこれなのか。唐突な立場の変化でした。

そんな時、父にたずねた質問の答えが、冒頭のひとことだったのです。

新型コロナで外出自粛の日々が続いても、父のルーティーンは変わりません。「毎日読んでるうちに、最近英字新聞が、スッと頭に入ってくるようになったんだよ」なんて自慢してくる。

一方、人と交流することが好きで、ボランティアやサークル活動などしょっちゅう外出していた母の方は、活動がすべてお休みになってしまい、ちょっと寂しそう。耳も遠くなり、物忘れが多くなってきました。

老いるって、どういうことなんだろう。

考えてみれば、ボランティアやサークル活動も永遠に続けられるわけじゃない。心身が衰えてくれば、会社と同じで、若い人たちにあとを譲らなければならなくなる。仲間と同じスピードで、同じことができなくなれば、居心地も悪くなるだろう。

外出できなくても、仲間がいなくても、自分ひとりでも、豊かに育てられる趣味を持って、自分で自分を楽しませることができるって、強いんだな。

そういえば父が定年してからピアノを始めたのは、昔から憧れていたことと、指先を使えばボケ防止になるという理由からでした。ボケないことは、父にとって全ての基本。語学も脳を使いますよね。今まさに、父の長期戦略は効力を発揮しつつあるようです。

私もテレワークが始まって4ヶ月以上、自宅を起点にほぼ外出なしの生活を送る中で、定年後の過ごし方について考えました。

あたりまえだけど、最後まで自分のそばにいてくれるのは、自分。自分と遊ぶことができれば、自分が楽しい。自分が楽しくしていれば、周囲が豊かになる。そんな循環を回していけたらいいな。

定年後ももちろんだけど、今からだって。

残業して頑張って、他人の評価や仕事の達成感が楽しい時もあったけど、もうその時代は終わり。戻りたいかと聞かれたら、答えは「ノー」。これからは、自分と向き合って自分を楽しむ。そうすれば、友達も家族も、職場の仲間も、きっと楽しい。そして、豊かな気持ちが広がっていく。そんなのいいよなあ。

関連記事