4月のフォトギャラリー公開!今月のテーマは「兆し」

フォトギャラリーでは、毎月テーマを決めて撮影した写真を3枚公開しています。

テーマは私が通う写真学校の宿題として出されたもの。授業は月に一度。生徒は1ヶ月かけてテーマに沿った3枚の写真を撮影します。

何かを伝えられる写真。今しかない一瞬を切り取った写真。見てくれた人がポジティブな気持ちになれる写真。そんな写真を撮影したい。

写真学校の様子とともに、撮り下ろし写真をご紹介します!

写真の賞味期限

写真には、事前にどう撮るか決めて、構図や被写体を作り込む場合があります。広告写真なんかそうですよね。おいしそうに見えるように撮影された料理、ファッショナブルに見えるように撮影されたモデル。

しかし写真学校の先生は、「作品としての写真でそれをやると、テクニックばかり目立って伝えたいものが伝わらない場合がある」と言います。

「見た瞬間はスゴイな、キレイだな、と思っても、それだけで終わってしまう。何度も見たくなる写真にはならない。見る人に何かを想像させる、何かを考えさせる、記憶を思い起こさせる要素があれば、写真の賞味期限はずっと長くなります

ということで、作り込みではない、自然に生かされるイメージを表現する、というのが今月の裏テーマでした。

1枚目は、「何かが始まる」

今月のテーマ「兆し」という言葉を改めて調べてみると、「ものごとが起こりそうな気配」とのこと。

最初に浮かんだアイディアは「水」でした。流れる水のイメージは、何かの「始まり」を感じさせます。

撮影したのは、帯状公園の水道。蛇口から流れる水は、決して元に戻ることはない。予想できない未来が始まりそうなイメージに重なりました。

撮影テクニックにうるさいクラスメートからは、「もう少し頑張って、高速シャッターで水が宙に浮いているように撮影できたら良かったんじゃない?」との感想。(え〜 ソレ狙ってないから。。)

先生は、「水の質感はよく出ていますね。ただ、これだけだと、公園の蛇口を誰か閉め忘れたの?って感じにもなっちゃうね。この水道に注目したのは、公園そのものの雰囲気もあったと思うから、もう少し背景を見せてあげてもよかった」。

ということで、後日再度撮影したのがこちら。

公園を兼ねた歩道の途中に、ポツンとある水道。それが水栓をひねるとちゃんと水が出る、という驚き。

明るい春の日、散歩の途中で出会った風景です。

2枚目は、「僕はいつか君と出会う」

東京・千鳥ヶ淵

歩道橋から満開の桜を撮影していた時、ファインダー越しに通りすがりの女性と目が合いました。偶然の一瞬です。しかし、画面の中央で振り向く女性、桜、女性の服の色、周囲の人たち。すべてが噛み合ってこの写真を演出している気がしました。

この写真、元々のタイトルは「予感」でした。

先生は、「僕ら男性の目からみると、これはドラマの世界なんですよ。翌日、偶然女性と出会って恋が始まるみたいな。この写真の不思議さをもっと全面に出したタイトルの方が良かったんじゃないかな」

彼女と私は言葉をかわすこともなく、次の瞬間には離れ離れに。でも、今この同じ時代を生きていれば、いつか彼女と私が出会って友達になることだってあるかもしれない。そんな気持ちで「予感」というタイトルをつけたんでした。

でも、もっと具体的に表現した方がその時の気持ちが伝わるのかも。そこで新しいタイトルを付けました。「僕はいつか君と出会う」

3枚目は、「そのままのあなたで」

この写真も元々のタイトルは「あるがまま」でした。

先生は「これは “あるがまま” ではないですね。見たままを描いているんじゃなくて、頭の中に浮かんだイメージを表現している。なんで ”あるがまま”にしたの?」と。

実は私もこの4月から、新しい環境で新しい人たちと、新しい仕事に取り組み始めました。この写真を撮影した3月は、まだ先行きがはっきりせず「これからどうなるのかな」と不安な気持ち。そんな時、「いつものあなたなら、大丈夫」と言ってくれた友人の言葉に励まされた、その時の気持ちを表現したかった。

「タイトルがうまく浮かばない時は、写真以外の自分の好きなもの、興味のあるものに置き換えて考えてみるのもいいですよ。これがテレビのドラマだったらどうだろうとか、好きなアニメだったらどうだろうとか。一旦今までの考えから離れれば、アイディアが浮かんでくることもあるからね」

さらに先生から「手前の草にフォーカスが合って、遠近感が出ている。これはこれで面白いけど、ここまでやるなら、全てアウトフォーカスにして光のきらめきだけで表現しても良かったね」とアドバイス。

写っているものがなんだかわからなくても、伝えることはできるのか〜。

そして、タイトルって「伝わる写真」にはとっても重要なんですね。

撮影テクニックだけに頼らなくても、伝えるための手段はたくさんある!と、改めて学んだ今月の写真学校でした。

ではまた来月!

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