鮮やかな退職。「今日で最後」と職場を去った上司がカッコ良すぎた!

彼は30代前半ですでに課長。

シニアの再就職で不慣れなワタクシ(59歳)を心配して、付かず離れず見守ってくれたのは嬉しかったなあ。

彼も他部署からこの4月に異動してきたばかり。

それなのに完璧な業務把握、冷静で適切な指示、必要な意見交換、部下を思いやる優しさ。まさに頼れる上司。

同僚と「優秀な人が来てくれて、良かったね〜」なんて話してました。

それがある日突然、部下全員を招集した打ち合わせで「業務は今日が最後。退職します」と宣言し、翌朝パソコンを返却。2度と会社に来なかった。

坂や丘のある町 walk along

記事執筆 & 写真撮影 青山田あかり

神奈川県 横浜市在住。写真ブログ「坂や丘のある町 walk along」に、気楽な記事を毎週投稿しています。

辞める理由は「組織が信頼できなくなったから」

驚いたのは突然の退職宣言だけではありません。

退職の理由を躊躇(ちゅうちょ)なく部下全員に説明したことです。

「理由は組織との信頼関係が損なわれ、短期間での修復が見込めないと感じたからです。」「ここ数ヶ月、さまざまな案件に対処し、しばしば職責を超える対応もしてきました」

「このままでは長期的に安心して業務を継続することは難しいと感じ、組織に改善を要望しましたが、次長、部長、事業部長も、検討するどころか、現場のやり方を改善せよ、といった反応でした」

「先週の話し合いでは、パワハラまがいの発言もあり、これ以上は私としても対応は難しく、退職することにしました」

さすがに優秀と言われただけのことはある。固有名詞や詳細な状況説明はいっさいなし。でも彼の意思決定の背景は理解できました。

「今日で最後」は可能なのか

ワタクシ、前の会社で34年間働き、たくさんの退職者を見送ってきました。自分も退職しましたし。

でもこんな辞め方、考えたこともなかった。

調べてみると、、、

雇用契約の解約については、民法の第627条が定めています。

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

民法|e-Gov法令検索

退職期限の定まっていない雇用契約なら、会社に申し入れてから2週間後に退職できるんですね。知らなかったよ〜。

彼は正社員。この条件に該当します。さらに、2週間分の有給休暇を使うことで、業務することなく経過期間を全うしたようです。

円満退社じゃなくていいのか

組織や上司と揉めた結果、辞めて行く人もたくさん見てきました。

しかし、業務に区切りがつくタイミングで退職がアナウンスされ、引き継ぎ期間が取られ、揉めていた上司とも「まあまあ」、となって、結果的に円満に辞めていく人が多かったように思います。

転職や再就職を指南する書籍やサイトでも、冒頭で良く書かれているのは、

  • 「本当に今の会社を辞めた方がいいのか、冷静に考えてみましょう」
  • 「辞めなくても済む方法がないか一度検討してみましょう」
  • 「辞める場合でも、周囲に迷惑をかけないタイミングで、後任に引き継ぎをしましょう」

なんて、心配してくれる書きぶりが多い。

まだまだ日本では、転職経験が評価されないケースもあるし、立つ鳥跡を濁さず、迷惑かけずに辞めるべし、という考え方が当然。辞めるからと言って、組織の不満を部下に説明するなんて、普通はしない。

そんな「常識」を打ち破る、突然の課長の退職。

最後の打ち合わせで彼は、

「皆さんに対しては、中途半端なことになってしまって申し訳ありません。心配なことがあれば、この場で遠慮なく言って下さい。引き継ぎ書に明記した上で、上にしっかり伝えますから」

と言ってくれました。

いくつか質問が出て、彼はそれに丁寧に答え、打ち合わせの後も、まるで明日からも業務を続けていくかのように、部下たちのメールやチャットに反応し、急遽依頼されたミーティングにも出席していました。

ワタクシは、「彼に迷惑をかけられた」とはまったく感じなかった。

むしろ、今までの彼の姿も含めて、「さすがだな」「短い期間だったけど、一緒に働けて良かったな」と思ったんですよね。

これからどうするのか

部下からの質問が出尽くしたころ。

“聞くなら今しかない!”と思ったワタクシは、「課長はこれからどうされるんですか?」と聞いてみました。

すると、「起業した友人から、ずっと手伝ってほしいと言われていたので、その会社に役員として入社することにしました」と。

やっぱり。。

感情に任せた即日退職ではなく、ずっと検討していた可能性をこの機会に実現する、冷静な判断だったんだな。

彼の行動が与えた影響

彼の行動をどう捉えるか。

組織としては、「非常識だ。なんて迷惑なやつだ」と心底思ったことでしょう。

一方、彼の同僚たちの一部は、「飲みに行こうよ」「話を聞かせてよ」となって、彼は今、飲み会のスケジュールが立て込んでいるらしい。ワタクシも、近いうちに彼のザックバランな話が聞けることを楽しみにしているところです。

理不尽なことを我慢しない。そのために毅然と行動し、説明する。常に冷静さを忘れない。会社以外の興味・関心を広げておく。

彼の行動を目の当たりにして、改めて考えさせられました。

再就職して4ヶ月。こんなことがあるとはね。

やっぱり再就職して良かった!

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