相手理解はなんのため?多様性について考えた。「ともに学び、働くための外国人スタッフの理解」

ヴィラーグ ヴィクトル著 中央法規出版株式会社

「多様性」や「ダイバーシティ」って、少し前まではほとんど聞かなかったのに、最近職場でよく聞き、よく言われるように。

その分、「多様性」の難しさを感じることも増えてきた。

相手の見た目や服装、ライフスタイルについて触れないよう気をつけたり、自分の言動が各種ハラスメントに抵触していないか、などなど。

すごく気になる!

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職場の多様性。ヒントがあるかな?

図書館で何気なく手に取った本「護・福祉の現場でともに学び、働くための外国人スタッフの理解」(中央法規出版株式会社)。

介護・福祉の現場で働いたことはないけれど、会社でも外国人の同僚と働く機会は増えてきた。職場の多様性に、なにかヒントがないかな?という軽い気持ちでした。

この本の著者は、ハンガリー出身のヴィラーグ ヴィクトル氏。2022年現在、長崎国際大学の講師です。2002年に留学生として初来日し、日本の大学で社会福祉学の博士号を取得。学生時代から日本の介護現場で経験を積んだと言います。

書かれていたのは、日本人と外国人スタッフ、双方の文化の深い洞察。超具体的な実践と対応の方法。

つまりこの本を読めば、職場の多様性の問題とその背景が具体的に理解できる。改善の方法も明快に示されている。

相手理解は長い道のり

異なる文化を持つ相手を理解し、自分を変えて相手に歩みより、対等な関係を構築し、一緒に価値ある活動を実行していく。

そのためには、コミュニケーションひとつとっても意識すべきことが山盛り。

なぜここまでやる必要あるの?と読みながら途中で思ってしまったほど。難しい!

人間同士のコミュニケーション、全てに役立つ

でも、、やるだけの価値があるんだろうなあ。

多様性って、実は自分と自分以外の全ての人たちとの間に存在しているもの。

この本には、「介護・福祉」の現場だけじゃなく、人間同士のあらゆるコミュニケーションに役立つ指針がたくさん書いてありました。

褒めちゃダメ!?

例えば「外国人介護スタッフを理解する」という章では、「言葉の遣い方」に焦点があたります。驚いたのは、同僚の外国人介護スタッフに対して、下記はすべて避けるべきだと言うのです。

  • 英語を使う
  • タメ口を使う
  • 敬語を使う
  • 専門用語を使う
  • 相手の日本語能力を褒める

自分もやってたこと、いくつもありました。これ、全部ダメなの?

相手の日本語を褒めることも控えた方がよいです。喜ぶ人もいるかもしれませんが、自尊心が傷ついてしまう人もいます。なぜならば、言葉の構造上、褒めることは「評価する側」と「評価される側」の上下を作り、対等な関係を壊してしまうからです。

褒める前に、自分は本当にその人を評価する立場なのか、褒められたら相手はどのような気持ちになるのか、必ずふり返ってみましょう。

「介護・福祉の現場でともに学び、働くための外国人スタッフの理解」P46

NGばかりじゃ何も話せない。。

あれがダメ、これもダメ。褒めてもダメ。じゃあどうすればいいの?

著者のヴィラーグさんは、大切なことは「相手に合わせたコミュケーション」をとることだと言います。自分本位ではなく、相手を知る。相手と向き合う。

相手理解は単純な決めつけや自分勝手な思い込み、また自己満足の老婆心ではなく、相手の世界観と価値観、つまり相手の文化的なニーズの把握から始まります。このような情報収集を欠いて自分の都合や不確かな情報をもってなんとなく接することはまさしく偏見です。そして、このような偏見に基づいた行動が差別になってしまい、関係を悪くしてしまうのです。言葉遣いを選ぶ際にも気をつけましょう。

「介護・福祉の現場でともに学び、働くための外国人スタッフの理解」P45

ヴィラーグさんの言葉が、グサッと刺さりました。

個人のせいにしない

しかし、もし組織の中で差別が生まれてしまったら。

ヴィラーグさんは、「大切なのは個人のせいにしないこと」だと言います。なぜなら、差別は悪意より「しくみ」によって起こるから。

職場で起きた日本人スタッフによる差別をその個人のせいにすることは、やってはいけないことの一つです。このような見方は差別が起きる複雑な仕組みを見逃してしまうからです。(中略)

差別は、個人・文化・構造の3つのレベルが複雑にからみ合っており、切り離して考えられません。そのため、差別の防止や起こってからの対応は、組織を上げて対策に取り組むことが重要です。

「介護・福祉の現場でともに学び、働くための外国人スタッフの理解」P46

ひとりひとりが少しづつ変わる

他者の気持ちを理解する、思いやりを持つ。

よく言われる言葉ですが、長らく生きてきて、ずっと、どうすれば実践できるのか、わからなかった。

この本は、かなり難しい。読み通すにはけっこう骨が折れる。

でも読み終えたら長年のモヤモヤが消えて、これからどうすればいいのか、自分の歩く道が少し広がった感じ。

ひとりひとりが少しづつ意識して、少しづつ変わっていく。

世界の平和も根っこは同じじゃないかなあ。

な〜んてことまで考えちゃう、スゴい本。

ガッツリ読んでみてください。

おすすめです!

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