できることは何でも。生き物たちは変化し始めている。さて、人間は?

年々、夏がくるのが怖くなってきました。猛暑、熱帯夜、大雨、台風、熱中症、、。

地球温暖化をヒシヒシと感じます。

どうしたら温暖化を止められるんだろう。自分には何ができるの?

そう思って手にしたこの本。

だけど、明確な答えや、ハウツーは書いてない。

書かれているのは、植物や動物、鳥や魚、虫やプランクトンまで様々な生き物たちが、温暖化で激変する環境の中、生き延びよう、子孫を残そうと奮闘し、多彩に変化していく姿。

その一方で、このままだと、いずれ地球上から消えてしまうかもしれない生き物についても紹介されています。

誰が生き残って、誰が消えるのか?そして、人間ができることは何か?

急激な気候変動に、体を張って向き合っている生き物たちの経験から人間が何を学べるのか、興味深く解説してくれるこの本。

面白かったな〜。

「温暖化に負けない生き物たち 〜気候変動を生き抜くしたたかな戦略〜」ソーア・ハンソン著 白揚社

生き残るのは誰か?

ハリケーンに自分の体を適応させるトカゲ

近年、甚大化している自然災害。台風やハリケーンもそのひとつ。

強力なハリケーンが2つ、2週間の間に相次いで襲来したカリブ海の島では、その後たった1〜2年の間に、ハリケーンを生き延びるための形質の遺伝が、トカゲの親世代から子世代に受け継がれたことが明らかになりました。

それは、トカゲの前肢の指球部が大きくなったり、前肢が長くなったり、後肢が短くなったりしたこと。

こうした身体的な変化によって、トカゲは前足で木にしがみつき、後足は旗のようにはためかせて、強風を切り抜けやすくなります。

周囲1メートルが涼しければ生きられるアメリカナキウサギ

私が住んでいる横浜市・青葉区近辺で、2023年の猛暑日は26日もありました。しかし同じ横浜市でも戸塚区柏尾町は猛暑日が2日だけ。同じ市内でも、地形や風通しなどの条件で、気温に差が出たんでしょうね。でも、こんなに違うとは。

グレープフルーツぐらいの大きさのアメリカナキウサギは、山地の岩の隙間に巣をつくり、ほぼずっと岩の隙間に隠れて生活するといいます。近くの草原から餌となる草や花を集めてくるときだけ、巣穴から1メートル程度離れるだけ。

つまり、温暖化で周囲の気温が上がったとしても、自分の周囲1メートルが涼しければ生きていける。実際、岩の下に草原があると、冷風が吹き上がって岩の隙間はそこだけ冷涼な気温に保たれることがあるらしい。

冷涼な気候の高山に生息して、温暖化で絶滅が危ぶまれたアメリカナキウサギは、低山の岩山でも個体群が発見されるようになりました。

生息地域は少しづつ縮小しつつあるものの、いろんな山の岩の涼しい隙間に避難して生き延びている。

消えるのは誰か?

1対1の依存関係はリスクが高い。リシリソウとリシリソウヒメハナバチ

夏に小さなクリーム色の花を咲かせるリシリソウは、花蜜を含め全身にジガシンという猛毒を持っており、昆虫が近づいてきません。そのままだと、受粉や送粉ができない。

しかし、その地域に生息するハナバチの一種(リシリソウヒメハナバチ)だけが、ジガシンを消化して解毒する方法を進化させ、リシリソウの花蜜を独占してきました。

温暖化でリシリソウの開花が早まる一方で、地下の巣で冬眠しているハナバチが這い出してくる時期はそれほど早まっていないといいます。地上と地下では、温度が変化するタイミングが違うみたい。

つまり、リシリソウは無駄に早く花を咲かせ、ハナバチは蜜を集める時期を逃し、それは両者の子孫の数が減ることに繋がる。

過去の栄光に囚われて、変化できない。ジョシュアツリー

アメリカ・カリフォルニア南部のモハーベ砂漠に生息するジョシュアツリーは、高さ12メートルまで成長することもある、ユッカ属で一番高い樹木。約1万1000年前の最終氷期が終わるまで、アメリカ南西部からメキシコ北部まで広く分布していたといいます。

研究者が注目するのがジョシュアツリーの実。木の上部、高いところに、レモンほどの大きさで糖度25%もの高エネルギーの実をつけるのに、旬の時期にその実を食べる動物は誰もいないといいます。

いや、大昔はいました。

3メートルもの体長のシャスタオオナマケモノという巨大動物がジョシュアツリーの実を食べて、移動とともに種を遠方まで運び、ジョシュアツリーの分布域拡大に貢献していたのです。しかし、シャスタオオナマケモノはマンモスなどとともに、最終氷期末期に絶滅。

その頃から、ジョシュアツリーの分布域は次第に縮小。今はモハーベ砂漠のみで生息し、近年は温暖化とともにモハーベ砂漠でも個体群が枯死しはじめ、絶滅が危ぶまれています。

共生関係にあった動物が絶滅し、温暖化で生息に適さない場所が増えているのに、ジョシュアツリーは太古のまま。自分を変えることができず、北方へ種子を移動させることもできずにいます。

人間は何ができる?

急激に変わる周囲の環境に対して、柔軟に自分自身や、自分のライフスタイルを変えられる生き物たちが生き延びて、何かに依存していたり、過去の栄光に囚われたりして変化できない生き物たちは、ジリジリと絶滅へのカウントダウンに向かっている。。。

生き物に限らず、人間にも当てはまりそう。なんだかちょっと、怖いな〜

温暖化を食い止めるために、今、人間ひとりひとりが具体的にできることってなんだろう?

ある生物学者の答えは、「できることは何でもやることだ」

著者のソーア・ハンソンの言葉はこんな風に続きます。

何でも否定する人は、気候変動のような大きな問題に対して個人が何か行動を起こしても焼石に水で、見せかけだけの振る舞いにすぎないと主張するだろうが、こうした考え方は間違っている。(中略)

個人の行動の重要性は減るどころか、増すのだ。文化とは、個々人の行動や考え方が集まることで規定され、変化するものだからである。(中略)

トカゲが一世代で足の指球部の握力を変えられるのなら、私たちも不要な飛行機の利用をやめたり、部屋を出る時には明かりを消すように心がけることはできるだろう。

「温暖化に負けない生き物たち 〜気候変動を生き抜くしたたかな戦略〜」ソーア・ハンソン著 白揚社P263〜P264

やってみます!

節電はやってるつもりだったけど、例えば、

  • 入浴している間は、洗面所の灯りは消す
  • マンションの1階まで新聞を取りに行く短い間でも、照明とテレビは消す
  • テレワーク中の昼休みは、モニターの電源を消す
  • エアコンを付ける前に、扇風機だけで涼を取ってみる

当たり前と言えば当たり前ですが、ちょっとした発見でした。「そっか、お風呂入っている間、洗面所誰も使ってないよな〜」って感じです。

生活の中でイチから考えて、今まであまり意識してなかったことから、まずは始めてみるのが面白そう。ちょっとした自分の行動を柔軟に変えていく。

それは、私たちにとっても、すべての生物種にとっても、困難だが魅力に満ちた旅になるだろう。私たちがうまくやってのけられることに期待を込めて。

「温暖化に負けない生き物たち 〜気候変動を生き抜くしたたかな戦略〜」ソーア・ハンソン著 白揚社P267

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