深夜の立体駐車場でパレットが途中停止!過去の自分が背中を押してくれた話

ある雨の降る夜11時ごろ。残業を終えて帰宅し、マンションの立体駐車場に車を入れようとしたところ、いつものようにパレットが上がり、しかし突然50センチほどの高さで停まってしまいました。

上げることも下げることもできない。操作ボタンも反応しない。上の車が十分に奥までバックしていなかったため、車体が安全確認用の赤外線センサーに干渉して、システム全体が作動しなくなってしまったんですね。

緊急連絡先に電話をしたらすぐ応答してくれました。30分ほどで作業員が到着する、マンション駐車場のゲートを開けてほしい、作業が終われば車は駐車できる、と。

全ての作業が終わったのは、深夜12時をだいぶ過ぎていました。実は、その時のことがずっと気になっていたのです。

私は夕食もすませておらず、残業でヘトヘト。そこへ他人の落ち度のせいで深夜まで雨の中、作業に立ち会わなければならなくなった。ガッカリして、怒りすら感じて、駆けつけてくれた作業員の方にかなり無愛想な態度をとってしまったのです。彼らのせいではないのに。

それから3年がたち、つい先日のことです。車を出そうとしたら、立体駐車場のパレットが全く上がらない。今度は、電気部品の不具合のせいでした。

その時思い出したのが、図書館で借りて読み、その後手元に置いておきたくて買った本、「漫画 君たちはどう生きるか」

父親を亡くして間もない中学生の主人公が、近所に引っ越してきた叔父さんに導かれて成長していく姿を切り取った物語です。

思い出したのは、友達を裏切ってしまったことを悔やむ主人公に、母親が若い時の経験を語る場面。

神社へと続く長い石段を、重い荷物を持ったおばあさんが苦しそうに歩いていく。「荷物を持ちましょうか」と声をかけようと思いながら、「なぜもっと早く言ってくれないのか」と言われることを恐れて最後まで言い出せず、おばあさんは立ち去ってしまう。母親は、「その時のぐずぐずしてしまった自分をずっと忘れられない」と語るのです。

主人公に、「忘れられなくていやな気持ちになる?」と問われて、母親は「ううん。そんな自分にお礼を言いたいくらいなのよ。自分の中に少しでもきれいな心がわいてきたら、今度こそ、それを生かさなきゃ、って背中を押してくれることがあるから」

駐車場のパレットを修理に来てくれた作業員のひとりは、前回来てくれた方と同じ人だったように思います。私のこと、覚えていたかなあ。雨の深夜、仏頂面で、お礼もはっきり言わなかった私のこと。でも今日またお会いできてよかった。今度は、あの時の私がしっかり背中を押してくれました。「今度こそ、しっかりお礼を伝えてね」と。

作業員の方の笑顔を見ることができて、晴れ晴れした午後でした。まだ時間はたっぷり。車を出して、週末の買い出しへ!

横浜市青葉区大場町 稲荷前古墳群より撮影

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