会社を辞めて冷蔵庫なし生活。「私には無理!」と思ったけれど。マネしたくなる【アフロえみ子の四季の食卓】
定年まであと2年。この先どうしよう。
やりたいことは色々あるけど、やっぱり65歳まで延長雇用して、このまま会社でゆるく過ごすのが一番なのかな。
ぼんやり考えていた時、図書館で偶然手に取った「アフロえみ子の四季の食卓」。
東日本大震災の原発事故をきっかけに節電生活を始めたアフロヘアーで独身で52歳(当時)の稲垣えみ子さんは、記者として約30年勤務した朝日新聞を50歳で退社。小さなマンションへ引っ越し、冷蔵庫なし・カセットコンロひとつだけで日々の食事を作っている。
冷蔵庫なし!?スゴ〜い。私には無理!
と、思ったけれど。。。
「アフロえみ子の四季の食卓」には、お金をかけずにおいしいものをお腹いっぱい食べられる幸せと、そのノウハウが、これまでか!と書いてある。
食生活だけでなく、彼女の生き方や人生そのものまで、どんどん豊かになっていく様子が楽しく語られていました。
読み終わる頃には、「私にもできるかも。いや、私もやってみたい!」という熱い思いが込み上げて、さっそく人生初のぬか床を整備して、ぬか漬けづくりを開始。
会社辞めても、冷蔵庫がなくても、おいしいものは食べられる。豊かさは自分で作るんだ!
な〜んて。
冷蔵庫なしで、食品の保存はどうする?
「毎日の食事が楽しみすぎて、いつも小走りに帰宅するありさま」それでいて「食事を作る時間は10分」という時短調理の稲垣さん。「アフロえみ子の四季の食卓」で伝授されたノウハウの一部はこちら。
- 日々の食事は一汁一菜
- ご飯は冬場なら3日に一度、夏は2日に一度程度炊いて、おひつで保存
- 野菜は干すか、漬けるか(ぬか漬け、おから漬けなど)
- 調味料は味噌、醤油、酢、オリーブオイル、ごま油のみ
確かに冷蔵庫なしでは、マヨネーズとかソース類を保管するのは難しい。でも、潔く調味料を厳選してしまえば、それもアリなんですね。
ご飯は、1日目は炊き立てを、2日目はチャーハン、3日目はおじやと、おひつご飯の変化に合わせてレシピを変える。
さらに、ぬか漬けのおいしさと効能がなんとも魅力的に書かれている!
ぬか床は生きているのです。正確には、ぬか床の中で「菌様」が生きておられるのです。それが、ナスやらキュウリやらをせっせと美味しく料理してくださっている。つまりは、あの茶色いベタベタとした物体の中にはフレンドリーな料理人が住んでおられるのであります。
P55「アフロえみ子の四季の食卓」(幻冬社文庫)
驚きの現代ぬか漬け事情
遠い記憶を呼び起こすと、ぬか漬けって私が小学生くらいの頃(1970年代ですね)まで、確かに母が作っていました。
フルタイムで働き、多忙だった母が作っていたということは、家庭にはぬか床があるもの、っていうのが当時の常識、「漬物があるのは当たり前」という感じだったのかもしれません。キュウリ、ナス、ニンジン、ダイコンといった定番野菜のぬか漬けでした。
ところが、今のぬか漬けは本当に多種多様、多彩なんですね!
稲垣さんが紹介してくれたのは、たとえば
- 刺身コンニャク
- アボカド
- 厚揚げ
- ミニトマト
- タケノコ
厚揚げは、周囲についたヌカごとフライパンで焼いて大根おろしを添えて食べる。ホントにおいしかったです。コンニャクも今までに味わったことがない味で、なんともおいしい。日本酒に合います。
他にも「これってぬか漬けにイケるんじゃ、、?と思ったら、気軽に野菜をぬか床に埋めて実験できます。ゆで卵やら、ゆでジャガイモやら、変わり種もおいしい。
ネットで検索すれば、たくさんの実験結果が出てきます。
マイぬか床、やってみました!
ぬか漬けをこれから始めるビギナーに対する稲垣さんのアドバイスは、
「スーパーに行けばぬか漬け用のぬかを売っているから、それを買えばいいよ!」
P53「アフロえみ子の四季の食卓」(幻冬社文庫)
さっそくスーパーに行って探してみましたが、今までまったく関心がなかったので、どこに置いてあるかも分からない。売り場を3周ぐらいして、やっと発見。
私がよく行くスーパーでは、塩が売られている棚に「発酵ぬか床」がプラスチックのしっかりした袋に入って売られてました。そのままその袋に野菜を入れればぬか漬けができる、というスグレもの。
ここで私からのオススメは、専門店などプロが漬けたぬか漬けを事前に味わっておくこと。
そうすれば、自分のぬか漬けの味が「なんだか酸っぱいな」とか、改善点が見つかりやすいと思います。
買ってきたぬか床にヌカを足したり、昆布や干し椎茸、煮干し、生姜の切れ端、トウガラシなど足していくことで、ぬか床は自分の家の味に変化していきます。時々、ヌカを食べてみて、味や香りを覚えておくのもオススメです。
ぬか床は冷蔵庫に入れない!
稲垣さんは冷蔵庫を持っていないので当然ですが、私もマイぬか床は冷蔵庫に入れません。最高気温35°の猛暑日に、厚揚げを12時間ぐらい常温で漬けましたが、腐ることはありませんでした。
むしろ、夏は菌の活動が活発になるので、漬かりが早くて助かります。だって朝漬けて、夜にはおいしい一品が出来上がっているんですから〜。
ここで、稲垣さんからのメッセージをご紹介。
人は一人で生きているようでいて、全然そうじゃない。さまざまなものと助け合いながらなんとか生きているのです。世知辛い世の中では「他人の得は自分の損」と考えがちですが、そんなこたあない。みんながよくなれば、自分もよくなる。そう思えるようになったら人生は変わります。
なので、まずは、ぬか様を助け、助けられながら生きてみませんか。
料理人が窒息しないようにと思えば、1日1度混ぜるなんてどうということもないはずです。
冷蔵庫に入れるなんてもってのほかですぞ。ペットの世話が面倒だからって冷蔵庫に入れませんよね?ぬかだって同じです。そのように考えることができればやるべきことはおのずと見えてきます。
P54「アフロえみ子の四季の食卓」(幻冬社文庫)
私にも冷蔵庫を手放す日が来ること、あるかな?
「アフロえみ子の四季の食卓」が発売されたのは2018年10月。2024年の現在、すでに6年が経過。
その間、稲垣えみ子さんの生活はますますレベルアップ。
近所でヨモギなど野草を摘んで天ぷら、野菜や果物の皮や芯まで食べ尽くし、ご飯を炊いた鍋のこびりつきを水で溶いて味噌汁を作ったりと、楽しくフードロスゼロの生活を送っておられる。
その様子は、こちらのサイトで無料で読めます→ 買わない生活(稲垣えみ子)東洋経済オンライン
うん。
電気を使わなくても、お金をかけなくても、知恵と工夫と創造力で生み出せるものがたくさんある。それも、心から楽しみ、幸せを感じながら。
一気に視界が広がって、ドローンのように日々の生活を空から見渡している自分を発見できた「アフロえみ子の四季の食卓」。
つまり、冷蔵庫なしの生活が「私には無理!」ではなく、「いつか私にもできるかも」という可能性に変わったのでした。
これなら、いつ会社辞めてもなんとか生きていけそう。
もちろん楽しく、幸せに。