学生時代、ゼミや課題で必要に迫られて読んだ名著。
読後の討論会では学生たちから多種多様な意見が出て、「世の中にはいろんな考え方があるんだなあ」と思ったものです。今振り返ると、豊かな時間だった。
社会人になってからは、仕事や生活に役立つ本や、息抜きの雑誌ばかり読むように。学生時代のような読書体験は中々できなくなってしまいました。
NHK Eテレの「100分で名著」は、1回25分x4回、つまり100分で名著を読み解く番組。指南役の講師と司会のおふたり(NHKのアナウンサーとタレント・伊集院光さん)との対話、朗読やアニメーションも交えて、名著の内容はもちろん、執筆された時代、著者の人生までカバーして、作品の味わい方を伝えてくれる。
まるで、テレビで見る「読書会」。
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これまで番組で取り上げた名著
2011年3月の放送開始以来、古今東西を問わず、聖書から漫画まであらゆるジャンルの名著が読み解かれてきました。例えば、、
- 「アイヌ神謡集」知里幸恵著(19歳で亡くなった北海道登別出身アイヌ女性)
- 「純粋理性批判」カント著(18世紀ドイツの哲学者。世界3大難解書のひとつ)
- 「夜と霧」フランクル著(ホロコーストから生還したオーストリアの精神科医)
- 「歎異抄」(親鸞の弟子が記した仏教書)
- 「萩尾望都スペシャル」などなど。。
アーカイブスを眺めているだけで「あの本もある。あれも、、」と、興味を惹かれる本がたくさん。
・100分de名著のアーカイブスはコチラ
誰が名著を選んでいるのか
これだけの名著を、誰が、どんな基準で選んでいるのでしょうね。
少し前(2018年)の記事ですが、番組プロデューサーのインタビューを見つけました。それによると、Eテレ内で担当者はひとりだけ。番組プロデューサーがたったひとりで選書しているとのこと。
ジャンルが偏らないのが大前提で、あとは文学や哲学、歴史を織り交ぜていきます。その中でどういう本を選ぶか。やはり視聴者が番組を観て、そこから引き出したり学んだりすることができる本に意識してアンテナを張って選んでいます。
季刊読書のいずみ「「100分 de 名著」 番組プロデューサー インタビュー抜粋
100分de名著 「金子みすゞ詩集」の回では
金子みすゞの詩は有名ですよね。東日本大震災発生時、繰り返し流されたACジャパンのCMがみすゞの詩「こだまでしょうか」でした。
みすゞの生きた大正時代。大衆文化が発展し市民社会が形成されつつあっても、まだ女性の地位は低く、封建的な家族制度に縛られていた時代。
幼少期に父を亡くし、後に母は生活のため親戚と再婚してみすゞの住む家を出て行く。童謡雑誌に投稿を続けて高く評価されたものの、夫の女性問題に悩まされ、晩年には夫から詩の投稿を禁じられる。離婚を決意するも長女の親権を要求されて、26歳の生涯を自ら閉じたみすゞ。
そうした時代背景やみすゞの生い立ちを知って初めて、彼女の詩の意味が分かったりする。
100分de名著は丁寧に、名著が生まれた背景や、著者の人生も解説してくれます。女優さんによる詩の朗読も良かった。
番組を見たあとは、図書館で名著を予約
全く知らなかった本、知っていたけど読んだことがなかった本。
番組で興味を持って「読んでみたい」となったら、図書館で借りるのがルーティーンになりました。
NHKオンデマンドで番組アーカイブが見放題
100分de名著のアーカイブが見たくて、なんとNHKオンデマンドをサブスクすることにしました。
毎月990円の「見放題パック」というやつですね。NHK「総合」「Eテレ」「BS1」「BSプレミアム」から厳選した10,000番組が見放題です。
そんなにテレビは見ないけど、やっぱりNHKは、民放で取り上げないようなコアな番組も多いので、どれぐらい使えるものか、これを機会に試してみることにしました。
U-NEXTやAmazon Prime videoからチャンネルを追加することもできます。U-NEXTは1ヶ月無料の上、1000円のポイントもつく。
ただですね、多数の100分de名著アーカイブスを番組検索するのは、やっぱりNHKオンデマンド直接の方が断然スムーズだよな、と自分は思いました。
参加したくなる「テレビで読書会」
100分de名著を見ていたら、自分も読書会に参加したくなってきた。もう長いこと、一冊の本を囲んで誰かと語り合うなんてなかった。学生時代の豊かな時間を思い出しました。
本っていいよなあ。
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