ぬか漬け名人にちょこっと聞きたい!【ぬか漬け帖・有元葉子著】マイぬか漬けを育てるヒントが満載

ぬか漬けづくりを始めて早1年が経過。ぬか漬けライフを楽しんでます。
ふと時間がある時、ネットで調べて昆布や鰹節、干し椎茸がいいと聞けば、ぬか床に入れてみたり。しかし、味が劇的に変わるかといえば、効果は微妙な感じでした。
一方、「ぬか味噌の全部出し」をした時は、味が変わってとてもおいしくなった!
年末に大掃除のつもりで、ぬかをボールに全部あけて容器をキレイに洗い、またぬかを戻した時のことです。ただ、その味も2〜3日経つとまた変わってしまう。
不思議だな〜。
もしお隣にベテランぬか漬け名人がいたら、ちょこっと聞いてみたくなる。

記事執筆 & 写真撮影 青山田あかり
神奈川県 横浜市在住。写真ブログ「坂や丘のある町 walk along」に、気楽な記事を毎週投稿しています。
ぬけ漬け名人の経験と工夫が満載
ぬか漬け名人が長年の経験を初心者に惜しみなく共有してくれる本。それが有元葉子さんの「ぬか漬け帖(筑摩書房)」。
タイトルの通り、本というよりノート(手帖)のよう。手軽に手に取れる大きさで、どのページを開いても、ぬか漬け作りで気になるトピックが数ページのコラムで分かりやすく語られています。

現代のぬか漬け作りは、周囲に「ぬか友」がいなくて、疑問も不安も自分だけ、となってしまうことが多いけど、この本は頼れるアドバイザー。
もし幸運にも「ぬか友」がいたら、一緒にこの本をパラパラ見ながら、それぞれの工夫を話し合う「ネタ出し」にも使えそう。
大豆を入れて、ぬか味噌の水分調整
この本にも、「ぬか漬けをおいしくするために入れるといいもの」がいくつか紹介されていますが、乾燥大豆は知らなかった。豆がぬか味噌の水分を吸ってくれるんだそう。
早速、乾燥した普通の大豆をそのまま30粒ぐらいぬか味噌に混ぜてみると、、、

この「ぬか漬け大豆」がおいしい!
煮豆より歯応えがあって、ポリポリ食べられる。お酒にも合います。
大豆の掘り出しは、ぬかを混ぜる時。目についた豆を適当につまみ出すだけ。

おいしいぬか漬けは、「毎日混ぜること」「清潔にしておくこと」
とはいえ、この本に書かれている「おいしいぬか漬け作り」の基本は、とても単純なことでした。
毎日よ〜く混ぜてぬかを空気に触れさせること。そして、周りに飛び散ったぬかを拭き取って、ぬか床を清潔に保つこと。
「毎日かき混ぜること」と「清潔にしておくこと」、この二つは簡単なことですが、日々続けていかなければなりません。たまにやればいい、ということではないのですね。一日1〜2分の小さなことですが、毎日必ずやり続けるという積み重ねが何より大切です。都合のいい日に週に三回ほど、、、というわけにはいかないのがぬか床。冬場はそれでもダメにしてしまうことはないかもしれませんが、夏は絶対NG。(中略)毎日、一回でも二回でも忘れずに、気がついたらすぐ手を動かし、続ける。これは結局、やる気が必要だということです。
「ぬか漬け帖(筑摩書房)」有元葉子著 P117−118
何か特別なものを入れたらおいしくなった!ということではなく、毎日の積み重ねがぬか漬けのおいしさを決めるのだと。
ベテランの極意は、とてもシンプル。
毎日かき混ぜると、なぜぬか漬けはおいしくなるのか?
この本の最後では、有元さんが発酵学者・小泉武夫さんの研究室を訪ねて対談する様子が掲載されています。
毎日かき混ぜるとぬか漬けがおいしくなるのはベテランの経験。
しかし、かき混ぜることでぬか床の中で何が起こっているのか?
有元さんが、初心者のワタクシ達と同じように「なぜ毎日かき混ぜないといけないのですか?」と尋ねています。
小泉さん答えていわく、
ぬか床の中にたくさんいるのは乳酸菌だけではないのです。耐塩性の酵母も多いのです。その酵母は空気を好む好気性菌です。(中略)一方、乳酸菌は嫌気性菌です。(中略)この酵母と乳酸菌の両方を元気にするために、しっかりかき回さないといけないのです。
「ぬか漬け帖(筑摩書房)」有元葉子著 P134
毎日かき混ぜることで、空気が好きな酵母と苦手な乳酸菌の両方が、いい塩梅で育つということ、なんですね!
ぬか味噌の全部出し
冒頭でお話しした、「ぬか味噌の全部出し」。有元葉子さんも「時々するぬか床の手入れ (「ぬか漬け帖(筑摩書房)」有元葉子著 P100)」としてやっているらしい。

ぬかを全部ボールにあけて、容器をキレイに洗って乾かす。その間にぬかをよく混ぜて、必要なら塩とぬかを足します。
これで、ハッとするほどおいしくなるんです。
これも、空気にしっかり触れさせることで菌が活性化するんじゃないかな、と思いました。
おいしいぬか漬けを毎日食べよう
今日の自宅ランチは、色とりどりのぬか漬けプレート。
朝、野菜をぬか床にいれて、昼には出してしまう浅漬けです。まだ気温が高い今だからできることで、冬場はもう少し時間がかかります。
これに白いご飯と、卵焼きでも付けたら大満足のランチに。

マイぬか床は、自分自身
ワタクシのマイぬか床。ナイショですが、名前をつけてます。

ここに野菜をいれるだけで、毎日おいしい漬物ができあがる。キッチンのパートナー、相棒ですね。
と思ったら、ベテランはこんなことも言ってらっしゃる。
ぬか床は自分の体みたいなものだと思います。日々ちゃんとした食事をとったり、なるべく運動を欠かさないように心がければ、健康な自分をキープできます。(中略)ぬか床もそれとまったく同じです。(中略)小さなことを欠かさず繰り返すことで、はじめて結果が出る。だから、私のぬか床は私自身なのだといつも思います。
「ぬか漬け帖(筑摩書房)」有元葉子著 P19
マイぬか床は、私自身。小さい努力を積み重ねることで、自分もぬか漬けも、おいしく変わっていくんですね〜
深い!
今日のぬか漬けの味は、ひときわ味わい深いものがありました。
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