定年退職後は、どうするの?必ず聞かれるこの質問に「な〜んもしない」と答えて、風のように去った先輩
会社の友人から「○○さん、今月いっぱいで卒業だって」とメールが来た。
15年以上前、一緒に仕事した彼。当時隣の部の部長さんだったけど、気さくで話しやすくて優しくて、いろいろ助けてもらったなあ。
最後に連絡したのはいつだっけ。もう10年は経ってる気がする。
連絡とろうか迷ったけど、向こうから連絡ないのに「今月で定年退職なんですってね」と自分からメールするのもどうなのかなあ、、。
などと迷ってしまって、結局連絡しませんでした。
そういえば、今日が最終日
金曜日の夕方、外出先から戻って最寄駅から会社に向かって歩いていると、またふと「あ、そういえば今日は彼の最終日だったっけ」と、ひょっこり思い出しました。
その瞬間、なんと本人が向こう側から駅に向かって歩いてくる!
こんなことってあるんですね〜。なにかの魔法みたい。
「○○さん!」と、少し大きい声で呼び止めると、最初は「ん?誰?」と言いたげな表情。
名前を名乗ると「あ〜」という感じで目尻が下がり、お互い『久しぶり〜』となりました。
退職後は、、、
「退職されるって聞きました。もしかして、今日が最終日?」
「いや、月曜日なんだよ。事務手続きがあるから午前中出社する。それが最後だね」
「そうなんだ〜。あの、退職後はどうされるんですか?」
やっぱり聞いちゃいますよね。知り合いの卒業の話を聞くと、必ず頭をもたげるこの質問。こっちも定年まであと2年ですからね。みんなどうするのかな、というのはとっても関心があります。
彼のような大企業の部長経験者だったら、同じ業界の他社に再就職する、起業する、団体の役員になる、スタートアップの社外取締役になる。働かない場合は、ボランティアで海外に行く、自治会の会長になる。などなどが、よく聞くところ。
答えは、、、
彼は正面から私を見ると「ん、な〜んもしない!」と言ってニッコリ笑いました。
「え、なんもしないって、本当に何にもしないの!?」焦る私に、
「そ、なんもしないの」と言って、まるでいつものように「それじゃね」と手を挙げて風のように去って行きました。
あれ、私これまでお世話になったお礼とか、ちゃんと言ったっけ、、、?
本当に何もしないらしい
会社に戻って友人数人に今の話をすると、「そうなの。彼の進路について具体的に聞いてる人はいないんだよね」
「本当に何もしないのかなあ」
彼の奥さんと交流があるという友人は「奥さんは、しばらくのんびりするみたいって言ってたよ」
それも全然アリだよね
今まで、卒業する先輩方は退職する時「次は○○という会社で△△をすることになりました」「請われて○○で△△することになりました」みたいに、次の進路を決めて発表する人がほとんどでした。
「なんもしない」なんて言った人いなかったなあ。
でもさ、40年以上も会社員生活を送ってきて、競い合って評価されて、結果を出すことを求められて、人間関係に悩んで、納期のストレスに追われて、、、。
長年頑張って、今後のために貯金もしたんだろうし、やっと卒業するんだから。これまでとまったく違う生活にシフトするのは全然アリ。
なんもしない、と言っても
多分、自分の心のおもむくままに、自由にいろんなことをするんだろうな。
当たり前だけど、世の中は会社で働くとか、人の上に立つとか、お金を稼ぐだけじゃない。
世界はあまりにも多くの可能性で満ちている。
「なんもしない」と言って、風のように去った先輩。
表情は明るく爽やかで、髪型がちょっと若向きになってて、目がキラキラしてたんですよ!
なんか、うらやましかった。
なんか、カッコよかった!