業界の著名人を招いて数年に一度開催する社内研修を兼ねたイベント。
その様子を伝える社内報サイトの記事には、参加した社員100人ぐらいがずらっと顔を揃えた大きな集合写真が。
おっ。
かつての上司や同僚、知ってる人いるかも?と思って隅から隅までくまなく見たけど、誰ひとり知り合いはいなかった。
世代交代が完璧に成功したんだなあ
この事業は元々十数人の社員がコツコツ活動して、今までにない機器をつくって保守的な業界の人たちを口説き落として使ってもらい、結果的に業界自体の大きな変革を後押しした、会社の中でも伝説的な事業。世界初の技術を業界から表彰されたこともありました。
普通なら絶対社内のイベントなんかに来てくれないような著名人が、彼らが声をかけると来てくれる。それも、何人も。すごいな〜、人脈だなあ。と、思ったものです。
それが数年前、別の事業部に吸収されて、少しづつ昔のメンバーはちりぢりに。
伝説のエンジニア・営業マンと言われたメンバーも、まるで普通の人として扱われて、いつの間にかいなくなってしまった。私も他部署へ異動。
会社って、そういうことも結構あるんです。
伝説を知らない若い世代へ
彼らとともに、業界との強いパイプや人脈も消えてしまったのかな?と思ったけれど、もちろんそうではなかった。
数年の混乱ののちに、技術もノウハウも人脈も、伝説を知らない若い世代にちゃんと引き継がれて、事業は大きく成長。
新しい世代、新しい考え方、新しいやり方。
これまでとは違うレベルの新たな成長に向かっていくことが、会社の方針だったんでしょうね。
伝説のチームは退場
いろんな軋轢(あつれき)や摩擦もありながら伝説のチームは退場して、新世代がにこやかに著名人を囲んで集合写真に収まっている。
誰が彼に声をかけたんだろう。
人脈と思っていた関係性も、会社という後ろ盾があってこそ、だったんだろうなあ。
伝説の○○さんじゃなくても、誰が声をかけても、会社という後ろ盾があればものごとは進む。
こっちだって変化するぞ!
会社は変化しながら、常により良い技術や製品やサービスを生み出し、利益を上げていくもの。
でも人間の人生の目的は、「利益」だけじゃないですよね。
会社が利益を求めて変化していくように、こっちだって変化して、自分の人生の目的を全うしたい。
定年まであと2年。
会社で働くだけが人生じゃない。「働く」こともいろんなカタチがあるはず。
気持ちは揺れ動き、なかなか「次どうする」が決められないし、何十年も所属した会社から飛び立つのは想像しただけで不安になる。
でもでも、こっちだって新たな成長に向かっていきたいんだよ!
と、社内サイトの集合写真を穴があくまで見ながら、ひとり思ったのでした。