人それぞれの「エコな選択」を後押し!情報と解説から判断できる【これってホントにエコなの?・東京書籍】
この夏、節電のために熱帯夜を扇風機だけで過ごしたワタクシ。
友人は驚き呆れ、心配して「やめなよ。エアコン使わないと死んじゃうよ」と。エコな生活を志すと、意外に周囲から反対される。
友人はさらに「テレビだって”ためらわずエアコンを使用しましょう”って言ってるでしょ。設定温度を上げたり、省エネ機能を使えばいいんじゃないの」と。
こんな時、友人もワタクシもそれ以上の情報は持ち合わせておらず、エアコン使用の良し悪しに関して客観的な視点で話をすることができません。
エコに関しては「テレビで言っていたから」「SNSで見たから」のように、正しい情報を知らないまま、なんとなく思い込んでいることがたくさんあるような気がします。
特に、自分たちの日常生活に関しては。
例えば、、
- 食器洗いは食洗機と手洗い、どっちがエコ?
- お風呂よりシャワーの方がエコだよね?
- お肉より野菜の方がエコ?
- ネットショッピングは、輸送費がかかるからエコじゃない?
- 電気自動車はエコなの?
などなど。。
この本「これってホントにエコなの」?ジョージーナ・ウィルソン=パウエル著(東京書籍)は、キッチンから旅行まで日常生活で人それぞれの「エコな選択」を自分で判断できるよう、分かりやすく解説してくれる。
エコは人それぞれ。100人には100人のエコがある
一番エコな移動手段と言えば、徒歩か自転車。
でも、住んでいる地域によってはどうしても車を運転し、所有しなければならない人たちもいますよね。
この本は、「車はダメ」と主張するのではなく、どんな車をどんなふうに使えば最も環境負荷を低減できるのか、データや数値など客観的な情報と分かりやすい解説で、人それぞれのベストな選択肢を指南してくれる。(答えは、電気自動車に複数人を乗せて移動)
大事なのは正しい情報を基に、自分で考えて行動すること。
その時、この本は考え方の視点を豊富に提供してくれます。実際、ちょっとしたことでエコが実践できるんだなあ〜、という発見もたくさんありましたよ!
本書では、私自身や友人、同僚、そして読者の皆さんが日々の生活のなかで直面している”エコ”に対するジレンマを取り上げました。分かりにくく、往々にして矛盾のあるアドバイスに出くわすと(中略)何もせずに済ませてしまいがちです。(中略)そこで本書ではそれぞれの問題について、最も環境にやさしく、シンプルな解決策を見つけるように努めました。それでも見つからなかった場合には、その理由を説明しています。
家電・ちょっと設定を変えるだけでも、エコになる!
先に取り上げた「食器洗い」。
節電の観点では、食洗機より手洗いの方がエコだと思うじゃないですか。
でも実際は、蛇口から勢いよく水を出すと1分当たり9リットルほども水を消費するのに対して、食洗機は1回につき約25リットル。つまり、手洗いで2.7分以上かかるなら、食洗機を使った方がエコになるという計算です(食洗機によって違いがあるので、自分の食洗機を確認)。
一方、食洗機は製造や廃棄まで含めると、かなりの環境負荷がかかります。だから食洗機を使用する場合は、ひとつの製品をなるべく長く使い続けることが重要。
日常使用のポイントは、中がお皿で満杯になってから、節電モードで使用して、お皿についた食べ残しは水ですすがず、掻き落とす(節水のため)。さらに最後のポイントは乾燥モードを使用せず、扉を開けたまま乾燥させること。
さっそくワタクシ、買った時以来読んでなかった、食洗機の取り扱い説明書をチェック。乾燥をゼロ分に変更することができると知りましたよ!
家電って、買った時の設定のまま「標準」モードなんかで使い続けていることが多かった。でもちょっと見直せば、エコな設定に変更できるんですね。
食器洗いに関しては、もうひとつ。
水をボウルやたらいに溜めて、少ない水で手洗いすればもっとエコになる。そこで、時間がない時はためらわず食洗機、時間がある時は節水して手洗い。自分にとっては、これが一番エコな選択ということで、落ち着きました。
単純ではない「エコかエコじゃないか」
この本を読んで、「エコかエコじゃないか」は、そんなに単純に判断できるものではなく、ひろ〜い視点で、モノゴトの初めから終わりまで網羅して考えないとダメなんだな〜、ということが分かりました。
一方で、今すぐできるエコなアクションもたくさん紹介されていたし、すでにやってることがエコだったんだ!と気がついたり、自分の生活に合ったアレンジを考えたり、読み終えてすぐ実践できるのがこの本の大きな特長。
一家に一冊、迷ったらまずはページを開いてみると必ずヒントが見つかりそう。
用語集や索引も充実してて、すぐに目的のトピックに辿り着けるのも便利。
著者・ジョージーナ・ウィルソン=パウエル
1980年代に生まれ、その世代の多くの人々と同様、電子レンジで温めるフライドポテトを食べ、使い捨てプラスチックでいっぱいのパーティーに参加し、大量生産されたファッションで満たされた生活をしてきたと語る彼女。
ドバイ(アラブ首長国連邦)で旅行雑誌の編集者をしていたころは、年に25回も飛行機に乗り、世界中を飛び回っていたと言います。
それはそれで楽しかったものの(中略)、罪悪感に駆られ、充実感を得られずにいました。私ひとりでさえ、1週間で小さな山になるほどのペットボトルを消費し、まるでバスのように飛行機を利用する生活をしているのです。それを考えると、この美しい世界を持続させるのがどれほど難しいのかと不安を感じるようになりました。
彼女はドバイを離れ、サステナブルな生活を紹介する無料のデジタル雑誌「pebble(ペブル)」を立ち上げ、気候危機に立ち向かう新たな方法を模索する人々を紹介しています。もちろん彼女自身もそのひとり。
pebbleに掲載されているジョージーナ・ウィルソン=パウエルの記事はコチラ
パワフルでクリエイティブ、アイディア豊富なジョージーナから読者へのメッセージを紹介します。
何をなすべきか最初から知っている人はいません。学び取っていくしかないのです。それが生まれ育った環境に根ざした習慣に反するケースも少なくはないでしょう。また、ほとんどの人には経済的な限界があり、時間的な余裕もありません。それでも、変化は起こせます。
(中略)絶望することはありません。諦める必要もありません。この本を活用して、短期的な成果を生み、長期的な目標を設定してみてください。(中略)誰にだって、できることはきっとあります。世界は、あなたが今すぐにでも何らかの行動を始めるのを待ち望んでいるのです。
まとめ
この本を読んで、「人間がより快適に生きようとすること」自体が、地球環境に負荷を与えているんだな、、という事実を実感。
過去70年間、世界の気温はほぼ絶え間なく上昇を続けてきました。現在、このような状況に陥っているのは、私たち人間が限りある資源に依存した製品や体験に対する欲望を抑えきれず、自分たちが自然のほんの一部でしかないにもかかわらず、自然界から断絶してしまっているからです。
使い捨てをやめて、なるべく今あるものを長く大切に使う。ごみとして捨てるのではなく、何かに活用できないか考えてみる。
必要な場合は手作りしたり、中古品を検討。お互い助け合って、補い合って、より少なく資源を使い、循環させていく。
難しそうだけど、ググッとこのコンセプトを自分の生活に落とし込んで、工夫と知恵で楽しくエコ生活にトライしてみよう。
だって毎年夏が暑すぎる!
冬なのに25°っておかしいよね!?
この本が、強く背中を押してくれました。