遺言を書いて人生について考えた。今までありがとう、そしてこれからもよろしく

80代の両親と同居して親の介護を担ってくれるという姉に、実家の財産すべて引き継いでもらうことにして、私は相続を放棄することに。

そこで考えたのが、自分の財産。

自宅マンションや貯金、退職金。私は独身で子供もいない。

もし、私が明日死んだら。私のお金はどうなるんだろう

答えは割と簡単で、順位が上の「法定相続人」が受け継ぐことになる。具体的には配偶者と子供(第一順位)、両親(第二順位)、兄弟姉妹(第三順位)。

配偶者と子供がおらず、両親が先に亡くなったら、私のお金は姉が受け継ぐ。つまり、実家の財産も私の財産もすべて姉に行くことになるんですね。

それはちょっと行き過ぎかな、と感じたことから、自分の死後、お金をどう生かせるのか真剣に考えました。

もちろんまだまだ長生きしますが、明日どうなるのか分からないのも人生。

もしもの時は全額慈善団体に寄付することにして、法的に効力のある遺言書、「公正証書遺言」を司法書士に依頼。ちゃんと公正証書役場に行って、原本を保管してもらいましたよ!

遺産として扱える財産とそうでない財産があることもわかりました。独身子供ナシは、退職金・企業年金に注意が必要。

遺言と向き合って、当初思いもしなかったことに気付かされ、最後は改めて家族への感謝の気持ちが湧いてきました。

公正証書遺言作成の流れ

結構たくさんのプロセスがあり、手間もかかります。司法書士を使わなくても公正証書遺言を作ることはできますが、私はプロの手を借りて、相談しながら作りました。納得感、安心感がありました。

1. まずは財産目録を作成
2. 本人と両親の戸籍謄本取得
3. 司法書士を探す
4. 法務局で不動産の登記簿謄本、区役所で固定資産評価証明書取得
5. 司法書士が本人の意向を受けて遺言の文案作成
6. 退職金・企業年金は遺産にならない!
7. 遺言書完成
8. 公証役場へ出頭、遺言書を提出
9. 万一の時は、司法書士へ連絡するよう家族へ依頼

遺言書は一度書いたら永久不滅ということはありません。必要に応じて撤回や変更も可能です。

1. まずは財産目録を作成

銀行口座ごとの残高、株取引など有価証券、自宅の時価など一覧表にまとめて、総額を計算。

2. 本人と両親の戸籍謄本を取得

法定相続人を特定するためです。手数料を払えば、司法書士に委任して取得してもらうことも可能。

3. 司法書士を探す

インターネットで探します。単発の依頼に前向きな司法書士を探すにはやはりネットが向いている。

一度は事務所を訪問して相談することになるため、行きやすい場所で絞り込み、サービス内容と料金、土日祝日対応かどうかなど気になる条件をじっくり比較。

遺言は執行まで長期間かかる場合も多い。途中で司法書士さんが不在となってしまわないよう、法人として会社組織で活動しているところが安心。

私は、最終的に2社に絞り込み、無料相談扱いで実際訪問してから決めました。司法書士さんのキャラクターが自分に合う合わないもあります。無料相談で話がはずめば合格。

気になる費用は?

費用は財産の金額や、遺産を受け取る人の人数、公正証書役場に出頭する証人を依頼するかどうかなど条件次第で変わります。自動で費用が見積もれるツールを提供している司法書士法人もあります。

4. 法務局で不動産の登記簿謄本、区役所で固定資産評価証明書取得

自宅など不動産の所有状況や価値を特定するため。手数料を払えば、司法書士に委任して取得してもらうことも可能。

5. 司法書士が本人の意向を受けて遺言の文案作成

遺言書の内容は意外にあっさり。誰が誰に、どこに預けてあるお金をいくら遺し、それ以外の財産は不動産も含めて換価・解約して全額寄付する(例)、遺言執行者は誰(私の場合は依頼した司法書士法人)など。理路整然と記載されます。

6. 退職金・企業年金は遺産にならない!

勤務年数が長い会社員だったら、退職金はそれなりの額になりますよね。最近なら確定拠出年金など企業年金のカタチで給付されることも多くなりました。

退職金、企業年金ともに、もし本人が死亡したら受け取るのは上位順位の法定相続人。この分野は根拠となる法律が労働基準法(第42条、43条)。法定相続人以外の、例えば寄付先の慈善団体を受取人に指定することはできないのです。遺産として遺言書に記載することもできません。

独身子供ナシ、両親が先に亡くなった場合、私の退職金を受け取るのはやはり、姉になる。

やっぱりそうなっちゃうの?寄付はできないの?と、ちょっとガックリきました。

しかしここまで判明して、改めて感じたこと。

私が死んだら、真っ先に連絡が行くのは家族。いくら私が完璧な遺言を残して、迷惑かけないようにしたとしても、自宅や会社にある私の私物の整理や、公共料金の解約、クレジットカードの処分、などなど細かいあれこれに対応するのは姉なんだ。私たちは子供の頃から性格も考え方も異なっていて、けして仲の良い姉妹ではなかったけれど。

今さらながら湧いてきたのは姉に対する「感謝の気持ち」でした。

7. 遺言書完成

そこで司法書士さんから、遺言書に「付言」を追加しては、とアドバイスが。「付言」は法的効力を直接の目的としない記載事項。文章の形式は自由で、会話調で語りかけたりするのもアリ。自分の希望や感謝の言葉を伝えることができます。

「付言」に、姉への感謝の気持ちと、退職金を受け取ったあと寄付してほしいこと、死後事務にかかるお金を差し引いたあと、姉が自由に使えるお金をいくばくか遺すことを書きました。

当初考えていた「全額寄付」から、方針変更。

遺言の内容と一致するよう司法書士さんが「付言」も添削してくれて安心。

8. 公証役場へ出頭、遺言書を提出

お世話になった司法書士さんとその上司の方に証人になってもらい、予約した日時に役場で待ち合わせ。公証人が遺言書を読み上げ、内容に問題がないことを確認。証人とともに署名なつ印して終了。あっけないほどスムーズで、所要時間は約30分でした。

遺言書は原本、正本、謄本と同じ内容のものが3部あります。原本は公正証書役場で保管され、正本は司法書士が事務所の金庫で保管。自分は謄本を持ち帰りました。

謄本はタンスの奥などに仕舞い込まず、万が一の時すぐに見つけられる場所に保管するように、とのことで、神棚に置いておくことに。

9. 万一の時は、司法書士へ連絡するよう依頼

姉に司法書士法人の連絡先を渡して、私が死んだ時は連絡するようお願いしました。私の遺言執行者となった司法書士法人ですが、死亡の連絡がないとアクションが取れない。そこもやはり、お願いするのは姉なんだなあ。

「どっちが先に死ぬかわからないよ。私が先に死んだらどうするの」と姉には言われたけれど。

お金は生きているうちに使いたい

自分の死を想定して遺言書に向き合って。なにか吹っ切れたような気持ちです。

毎日会社で働いて、やっと頂くお給料。大事なお金です。元気で生きているうちに、実のある使い方をしたい。

そして、使い切れなかった分は、暴力や貧困の中で生活している世界中の人たちのために役立ててもらう。

そう思ったら、もっと自由に、もっと自分らしく生きていけそう。

人生まだまだ、これからですから。

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